15・16

真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐A〉 (新潮文庫)

真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐A〉 (新潮文庫)

真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐B〉 (新潮文庫)

真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐B〉 (新潮文庫)

side-Aは男目線から描かれたので、side-Bはてっきり女目線での話だと思っていたら全然違ってびっくりした。しかも冒頭でいきなりあの状態から始まるってどうなの。あまりにも、あまりにもな設定だと思うんですけど。
何者でもない自分、というキーワード。「僕」が今電話している「友人」もその時にだけ存在するものじゃないのか、てな事は私もたまに考える事がある。ほんとはこの世界は自分一人ではないのか?という恐怖。僕はあるバーでの仕事がきっかけとなり変わっていくんだけど、そこからの物語の進み方が、読み終わった後にすぐ読み返してしまうほど、どこか心にひっかかった。水穂のお墓の前で号泣するシーンは泣けましたな・・・。圧倒的にそこにあった虚無感から、「残りの二百八十七は、今の僕のために使い、今の僕が愛する人のために使っている。」という最後の一文。それが好きだなと思いました。全体的にふわっとした物語だったな。