犯行時刻の記憶を失った死刑囚・樹原亮の冤罪を晴らそうと、刑務官・南郷と前科を背負った青年・三
上純一が事件の謎に迫っていくミステリー。前回の「６時間後に君は死ぬ」がとてもおもしろかったので、次に読む高野さんの本は絶対にこれだ！と決めていた作品。期待通りのおもしろさでした。ページを進めていくごとに、この人が犯人？いや、まさか、こっちが犯人じゃね？と、翻弄されるのはもちろん、冒頭から張り巡らされている、読んでいてふと違和感が残り頭にトゲみたいに刺さっていく伏線が最後にすべて回収される気持ちよさ。最後の最後まで、飽きる事なく楽しく読めた。南郷も純一も真犯人も佐村光男も加害者であり被害者であり。どう考えても一番最低なのは宇津木耕平じゃないのかと思うけど（佐村の息子も最低だけど）、だからといって罪を犯してもいいのか。印象に残ったのは、純一の手紙を読んだ後に南郷が呟いた一言。一人の死刑囚を２人は確かに救ったけど、それで終わりではなく、これからも殺人という罪を背負った２人の物語は続いていく。パン屋作って終わりでいいやん・・・とか思うけど（笑）救いようがない訳ではけしてないのに、まだ救われていない２人の現在が、とてももどかしく、でも、やっぱりこういう終わり方しかないんだよね、と納得もするんでした。いやはや、おもしろかった。
